story



「4年前、俺は妹の記憶を 
“7つの宝石”に変えて売った」

 

 敗戦後、錬金術によって復興した
小国アズリット。

 上流階級からの盗り返しを生業とする
“義賊の少女” ミアは、
“錬金術師を名乗る青年” ハイノから
曰く付きの宝石を盗り返して欲しいと
依頼される。

 

 贋作まみれの美術館、
 墓地を跨ぐ時計塔、
 人形夫婦の住む丘…

 数奇な運命に導かれ、2人は自身の
“過去”と“今”を問い直す。

これは、《知り得なかった貴方》を
私が愛するまでの物語。
 
 

character


〈01〉 ハイノ=ウィンスロップ 
 本作の主人公。
 “記憶を鉱物に変える能力”の天才錬金術師。妹の記憶(宝石)を盗り返す為、ミアを雇用した。
 効率主義故に明け透けな物言いをする事も多いが、本質的には温厚、誠実な青年。研究者としての性か、旺盛な好奇心で周囲を振り回すことも。

 妹や親友(シズキ)に関して、不幸の責任は全て自分にあると罪悪感を募らせている。


〈02〉 ミア=シャンドル

 本作のヒロイン。

(見た目だけは)可愛らしい容姿とサイズ感をした“義賊の少女”。

義理難く、物怖じしない性格で、弱者の味方であることに強いこだわりを持っている。


 義賊になる前の記憶を失っているが、「今の自分に満足している」という理由から、忘却に対して無頓着。

 食事量のわりに、胸も身長もないことを少し気にしている。

    

 

〈03〉 ユウキ=ヴァイス

 柔らかな物腰の青年。

 故あってハイノとミアに仕える、無駄にハイスペックな執事。

 

 ミアのファンを自称し、偏執的なまでの好意を寄せている。

 当の本人(ミア)からは全力で嫌われているのだが、それを楽しんでいる節さえあるドM。

 その本性は潜入調査中の警察官。

ちなみに眼鏡は伊達。

 

 

〈04〉 アサヒ=ベッシャー

 葬儀屋の青年。

ハイノとは幼馴染で、自由奔放な言動に振り回されてきた苦労人。口下手。

 

 “秘密を鍵に変える能力”の錬金術師。

 その身分に反して、錬金術のみならず、錬金術師に理解の無い一般人を嫌っている。

 左頬から左上腕にわたる火傷は、反練金派の暴動に巻き込まれた際のもの。

マリィとは恋仲。

 

 

〈05〉 マリィ=フラメル

 花売りの女性。

“痛みを花に変える能力”の錬金術師。

 貧しい生まれから見事、錬金術師として大成した“成り上がり”。

 見た目によらず雑草根性がすわっており、食欲も人一倍。

 

 アサヒと共に反錬金派の暴動に巻き込まれ、記憶の一部を失っている。

   アサヒとは恋仲で、口下手なアサヒを無邪気に振り回す立場。


 

〈06〉 アマネ=ウィンスロップ

 ハイノの妹。

4年前、ハイノに記憶(宝石)を抜かれたことをきっかけに昏睡状態になった。

 

 生まれつき病弱で、屋敷から出たことは数えるほどしか無い。

 外の世界に強い憧れを抱き、ハイノの話や錬金術を通して外界を認識していた。



〈07〉 シズキ=シューウェル

 33人殺しの錬金術師。

 3年前、ハイノと共に“アインベレットの青髭事件”に巻き込まれたことを契機に精神を病み、錬金術で大量虐殺事件を起こした。服役中。

 

 かつて親友関係にあったハイノに対して、愛憎伴うアンビバレントな感情を抱いている。


 

〈08〉 ネロ

 幼い錬金術師の少年。

 表向きは郵便配達員、裏では情報屋として活動している。

 

 帽子の中に“ルス”という名の友人がいるらしい。“ルス”以外には基本寡黙。

 灰髪の英雄こと、アッシュに嫌悪感を抱いている。

 

 

〈09〉 ローガン=ジェイデン

 中年の警察官。

 ユウキの上司で、癖の強いメンツに振り回される苦労人。

 

 なぜかミア絡みの事件にあたることが多く、年甲斐もなく東奔西走させられている。

 

 

〈10〉 シエ

 義賊の女性。

 面倒見のいい姉御肌。

 戦争孤児を引き取り、貧民街でつつましく暮らして居る。

 

 同業者であるミアのことをあまりよく思っていない様子。

 

 

〈11〉 イヴリン=マクスウェル

 ハイノの師匠、錬金術師。

 ミルリード国立小児病院の女医。

 

 横暴な言動が目立つ一方で、病院の赤字経営を私財をなげうって維持するなど、医者としての倫理観は十分に兼ね備えた人物。

 

 

〈12〉 リン=ベル、メイ=ベル

 幼い双子の錬金術師。

 ミルリード国立小児病院の看護婦。

 

 よく似た顔立ちをしているが、喧しい姉がリンで、大人しい妹がメイ。

 錬金術の師匠であり、育て親でもあるイヴリンを慕っている。

 

 

〈13〉 アッシュ=ウィンズロー

 灰髪の青年。

 10年前、敗戦後に突如現れ、復興に寄与した英雄。

 

 錬金術の創始者であり、その伝授に生涯を費やしたが、反錬金派の手にかかり処刑された。

 

 

showcase


第1話「義賊と錬金術師」 

宝石】ラピスラズリ

 

 “義賊の少女” ミアは、“錬金術師の青年” ハイノから、いわくつきの宝石を盗り返して欲しいと依頼される。

 潜入先は高名な美術商の邸宅。
更にその屋内は、行方不明になったはずの美術品で満ちていた。

 生まれも価値観も正反対の2人、その運命劇の導入譚。



第2話

「琥珀色レーゾンデートル」
宝石】アレキサンドライト
 

 “錬金術嫌いの錬金術師” アサヒの依頼で、ハイノたちは時計塔の増設を阻止すべく、旧市街の工房を訪れる。

 その工房の主は、“錬金術師を毛嫌いする時計技師の女性” ナタリーだった。


 時計塔の設計図を見たハイノは、その造形に感銘を受けるのと同時に、違和感を抱く。



 

第3話「 わたしと花葬曲を」
宝石】ダイヤモンド

 

 反練金派の活動が活発化する中、ハイノの元にマリィが拐われたとの知らせが入る。

 マリィ救出のため、ハイノはアサヒに協力を申し出るが、「これ以上、錬金術でハイノを危険に晒したく無い」と、それを拒否するアサヒ。


 ところがマリィ救出作戦の最中、ハイノもまた、行方不明となってしまう。

 


 

第4話「ヘスペリデスの園」
宝石】ペリドット
 

 “人形夫婦の住む丘”の噂を聞きつけ、ハイノたちは街外れの邸宅を訪れる。

 緑に囲まれた廃屋で暮らす博士は何故かハイノのことを知っており、「宝石を返すために、3日間の猶予を与えて欲しい」と懇願する。


 他人の幸福を奪ってまで、宝石集めを成し遂げるべきかと葛藤するハイノ。最終的に見出した、ハッピーエンドの解法とは


 

 

第5話 

「我が為の祈りを数えたら」
宝石】トパーズ


 ハイノのかつての親友であり、錬金術で33人を殺めた大罪人 シズキ。

 トパーズの行方をシズキから聞き出すため、ハイノたちは刑務所を訪れる。

 そこでシズキの口から告げられたのは、ハイノの術式が離島で人体実験に悪用されているという非情な現実だった。

 

 かつての親友でありながら、ハイノに愛憎の両感情を抱くシズキ。その協力の対価と目的とは


     

第6話

「H=Missing In Action」
宝石】コンクパール


 離島で心身共に大きなダメージを負った一同。

 ハイノの師匠であるイヴリンの下、ミルリード国立小児病院で療養を行うことになるが、そこでは原因不明の眠り病が蔓延していた。

 

 


第7話

「空虚な名誉に還ろうか」
宝石】×××××


 ゲネシス(創造主)と名乗る男の手により、大規模な錬金術師の連続拉致・殺害事件が発生する。

 ゲネシスは、3年前の“アインベレッドの青髭事件”に関与した他、ハイノに無用の借金を背負わせ、アマネの宝石を取り立てた人物でもあった。

 

 果たして、ゲネシスの目的とは?

「妹(アマネ)か、相棒(ミア)か、どちらかを選べ」という命令に、ハイノが下した決断とは